※この記事はネタバレを含みますのでまだ観ていない方はご注意下さい。
先日地上波で上映された「パラサイト 半地下の家族」ご覧になりましたか?
この映画は上映後すぐに映画館観たのですが、人生で始めて
「もう一度映画館で観たい!」
と思った作品だったので嬉しかった!
今回は「パラサイト 半地下の家族」の考察をしていこうと思います!!
「パラサイト 半地下の家族」のキーは「におい」
こんなにも「におい」を意識させる映画は今まであったでしょうか…?
実際には漂っていないのに感じるあの「半地下」のにおい。
太陽の光が通らず、じっとり湿っぽいような鉄臭いようなあの感じ。
たまに家や車等の「空間の匂い」を感じる人っていますよね。
芳香剤や柔軟剤とその人とが相まった独特のにおい。
また、普段自分では気づいていないけど、旅先で荷物を開けた時にふと自分の家の匂いを感じることがあります。
ダソン(パク家息子)が、
ギテク(キム家父)とチュンスク(キム家母)のにおいを嗅ぎ、
ジェシカ先生も同じにおいがするよ
というあのシーン。
あの言葉で一気にキム一家のにおいを想像しました。
きっと部屋干しをしているであろう服の匂いや髪についたにおい。
つい自分のにおいを確認してしまいましたね。
なぜギテク(キム家父)だけ反応しなかったのか
キム一家がみんなでピザ箱を組み立てる時、消毒散布がきましたよね。
その時に他三人はむせていたのにギテクだけは何事もないように作業を続けています。
このシーンはどういう意味なのか…。
考察
キム一家は裕福ではありませんよね。
でも、お金は無いが生活には不満はない。
半地下のにおいなんか気にならないくらいここでの生活と家族を愛しているから。
後々、パク家にパラサイトする際、ソジュン(パク家父)が何度もギテクのにおいに嫌悪感を示します。
最後のシーンでのギテクの怒りは、地位が低いという理由だけで自分の愛する家族に対しての嫌悪や侮辱がつもりにつもり、爆発したのではなかろうか。
韓国の「学歴社会」が如実に表されている
次にキーとなるものは韓国の「学歴社会」です。
学歴社会主義と言われる韓国。
「入る大学でその後の人生が変わる!」と言っても過言ではないほど重要なイベントで、日本でもその映像がニュースで流れるほどです。
キム家の子どもたちは頭がとても良いです。
ギウ(パク家長男)は兵役を挟んで4回も受験しており、ギジョン(パク家長女)は美大に入れるほどのパソコンやデザインの知識が豊富。
この二人が受験に成功していたらキム一家は豪邸に住み、家政婦を雇っていたことでしょう。
学歴社会が格差を作っているんだね
日本では大卒だと初任給も変わってきますが、今や努力次第でその何倍も稼ぐことも可能ですよね。
学力よりも「賢さ」の方が重要とも言えます。
今流行の「ユーチューバー」や「インスタグラマー」一昔前になりたい職業ランキング上位だった「キャバクラ嬢」もどちらも学校でそれに特化した授業なんてありません。
でも多くのお金を得ることができますよね。
「人の心をいかに動かせるか」が日本ではお金を稼ぐ策と言えましょう。
格差を表したシーン
映画の隅々に「格差」を象徴したシーンが散りばめられていましたね。
格上 | 格下 | |
受験 | ギウの友人のミンは受験に成功し家庭教師のバイトをし、海外に留学もする予定である。 | ギウは受験に失敗し、バイトすら雇ってもらえない |
家の場所 | パク家=高台の一等地 | キム家=半地下 |
チャパグリ | サーロインステーキをトッピングするヨンギョ(パク家母) | 庶民の食べ物であるはずのチャパグリの存在すら知らなかったチュンスク(キム家母) |
庭のテントのダソンを見守っているシーン | リビングのソファに横たわるパク夫妻 | テーブルの下に隠れるキム一家 さらにその地下にいるムングァン夫妻 |
大雨の後 | 大雨で水浸しになることはありえない高台の家で綺麗なドレスを着てパーティを開くパク一家 | 半地下の家が水没、体育館のような場所に雑魚寝、着る服もない |
犬と串刺しの肉 | 串刺しの肉を食べるパク家ペットの犬 | 串に刺されたムングァンの夫 |
格差を意識しながら観るとより考えさせられます。
格差はあれども「愛は平等」のメッセージ
裕福でも貧乏でも、人を愛するという人間の根本の部分は変わらない。
それは「愛」という言葉で表されていました。
「愛」のシーン
パク夫妻:ダソンを見守っている間、なんとなく始まった営みのシーン。
ムングァン夫妻:パク家の地下で夫をかくまう。
一角に置かれた使用済みと未開封の避妊具。
キム一家:ラストのギジョンが刺された時、母チュンスクが今まで家族だということを隠していたのにも関わらず、ギジョンを本名で呼んでしまう(お金>愛)
父ギテクも勤め先の息子ダソンの擁護ではなく、とっさにギジョンの元に駆け寄り、ソジュンが車を出すように声をかけても動くことができない=家族愛
残酷なシーンの中にもそれぞれの「愛」が垣間見えましたね。
特にギテクが
それでもあなたは妻を愛している
と疑問混じりにソジュンに仕切りに確認していたのが気になりました。
ソジュンの妻ヨンギョは料理も掃除もできないし、おまけに人にも騙されやすい。
そのことをソジュンは呆れたようにギテクに車内で話していましたが、ギテクにはなぜそんな妻と一緒にいるのか理解不能だった模様。
ソジュンの行動は、ギテクには理解できない種類の「愛の形」だったのではないでしょうか。
パク家とキム家はどちらが幸せか
お金持ちのパク家と貧乏のキム家、いったいどちらが幸せなのでしょうか…?
「キム家」に1票!
美談ではなく、私ならキム家に1票です。
キム家は「一家団結」この言葉がぴったりです。
家の規模やバイトも一家で行う為物理的な距離が近いこともそうですが、それぞれが各々の特技や性格をとてもよく理解しています。
その結果、トントン拍子に「パラサイト」できたのでしょう。
お金はないもの幸福度はこちらの方が大きいと思います。
パク家は実はバラバラである
パク家はお金は余るほどありますが、「愛」が足りないからです。
特に娘のダヘに関しては両親からの愛情が少なすぎますよね。
ダソンには時間も愛情も惜しみなく注ぐのに対し、ダヘはいつも二の次。
そのためかダヘは「自分を見てくれる人なら誰でも良い」とでも言うように、家族以外にに愛情を求めるようになります。
以前の家庭教師ミンとも恋人のような関係だったにも関わらず、ギウに変わった途端すぐに懐いてしまいます。
慢性的な愛情不足の証でしょう。
また、ソジュンは家のことは妻任せ。
そのヨジョンはというと家庭教師や家政婦任せ。
家庭教師で訪れたギジョンはものの数時間での心に入り込んだのに対し、ヨジョンの言葉には耳も傾けないダソンの姿になんとも言えない「距離」を感じた方も多かったのではないでしょうか。
お金で愛は買えないが、愛でお金を生み出すことは可能
あなたはどう感じましたか?
考察した上でもう一度観ると何倍も楽しめそうですね♪
映画「パラサイト」はHuluで視聴可能♪
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他にも映画レビューをしています。
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